沖縄県地域医療支援センター

沖縄県地域医療支援センター 特命教授就任のご挨拶

このたび、沖縄県地域医療支援センターの特命教授を拝命いたしました、原永 修作です。私はこれまで呼吸器・感染症内科を専門とし、大学病院や県内各地の地域医療の現場で、診療・教育・行政連携に携わってまいりました。こうした経験を基に、今後は本センターにおいて、医学生・研修医・医療機関・行政、そして地域住民の皆さまをつなぐ「ハブ」としての役割を果たすべく、全力を尽くしてまいります。

沖縄県は、多くの離島を抱える島嶼県です。新病院長のご挨拶にもあるように、医師数全体は増加傾向にあるものの、宮古・八重山の離島部や本島北部では特定診療科の専門医が不足し、医師確保はなお喫緊の課題となっています。私はこれまで現場に根ざした診療支援を重ねてきましたが、その視点を活かしつつ、センターの活動を通じてこの課題解決に取り組んでまいります。

特に重視してきたのが、県・医師会・県内研修病院との連携による若手医師の育成とキャリア支援です。これまで臨床研修センター医科部門長やキャリア支援センター医師部門長として「沖縄レジデントデイ」「研修医OSCE」「シミュレーショントレーニング」などを企画し、県内の初期・後期研修医が施設の垣根を越えて学び、互いに刺激し合える場を提供してきました。これらの取り組みを継続・発展させ、地域に根ざしながらも専門性を高められる質の高い研修環境づくりに力を注ぎます。これは新病院長が示された、琉球大学医学部・病院が担う「地域医療従事医師の育成」や「研修体制の構築」という使命にも深く通じるものです。

さらに今後は、地域枠学生とその出身医師との連携強化も重要な課題です。地域枠制度の恒久化や、地域枠学生の教育支援・キャリア形成の重要性を踏まえ、センターが情報共有のプラットフォームとなり、関係者間の密な連携を推進していきます。これにより、地域で学び育った医師が卒業後も沖縄の医療を支え続けられるよう、安心して学べる環境と充実したキャリア支援を整えていきたいと考えています。

また、大学が担うもう一つの使命として、研究を通じて医療の質を高めることがあります。私は地域医療の現場でこそ見える疑問や課題を大切にし、それを学問的に掘り下げる「リサーチマインド」の醸成にも力を入れたいと考えています。地域で研修を行う若手医師が、日々の診療経験を通じて問いを立て、発信できるような環境づくりを、琉球大学と沖縄県および各地域が一体となって後押しすることが、これからの地域医療に不可欠だと感じています。

地域での学びに興味を持ち始めた学生の皆さん、勉学に励む地域枠学生の皆さん、地域医療の最前線で奮闘する若手医師の皆さん、そして県内の医療関係者の皆さまへ——

沖縄の地域医療を支えるすべての医療人のための「連携」と「キャリア支援」の拠点として、このセンターを共に育んでいきたいと願っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

琉球大学病院
沖縄県地域医療支援センター
副センター長/特命教授
原永 修作